二人でご飯を食べて少し外を歩いていた。

何をするでもなく、ただただ。

信生の体にさわらない程度で。

ふと俺が立ち止まった。

信生に向く。

キョトンとした顔でこちらを向いてくる。

「幸焼?」

「ねえ、信生。結婚………しよう。」

ただ一言。それだけで充分だった。

「え………………。」

戸惑う信生を見て少し笑う。

「………えっと、私は……病気だから………」

「知ってる」

「私の看病もしないといけないよ?」

「するよ」

「私いつか死んじゃうかもしれないよ」

「死ぬ瞬間まで幸せを信生に焼き付けるよ。俺、幸焼だから(笑)」

「何それ、変なの。」

「信生。結婚しよう。」

「幸せにしてくれるの?けど、私は幸焼を幸せにできないよ?」

「俺もできないかもね。信生はいるだけで
幸せだよ。」

「で、でも…………」

「あぁ、もう、うるさい口だなぁ。信生純粋に俺と結婚したいの?したくないの?」

「………………………とても、したいです。」

やっと素直になった信生を抱きしめて耳元で

「幸せになろうね」

そうつぶやいた。

信生の顔が赤くなったのは言うまでもない