先生がその騒ぎに駆けつけてきてやってきたころには、わんわん泣き叫ぶ私と涙目で私を罵倒する初恋の男の子を囲んでクラスメイトがわあきゃあと罵倒しまくる、さながらリングに上がったボクサーを応援する観客、みたいなカオス地獄絵図が出来上がっていた。


その後、何とか収拾し──次の日から、私はその男の子と話さなくなっていた。

顔も見たくなかった。

小学校から中学校へはただ場所が移動しただけだったけれど、幸い一緒のクラスになることはなかったし、向こうも私のことを意図的に避けている節があった。


正直ありがたい。

好きな男の子の前で火がついたみたいにわんわん泣いたことも恥ずかしかったけれど、一番恥ずかしかったのは、好きだった男の子に幼いながらも足りない頭でなんとかアピールしていたにも関わらず、その結果がゴリラで終着してしまったことだ。


意味わかんねえよ。

私一体どんなアピールしてたんだよ。

今どきのゴリラでももっと頭使うわ。


『お前、見た目の割にゴリラみたいな性格だよな』

純粋な少女の心には、過剰なほどその言葉がこびりついていた。

男の子の名前も、顔ももはや思い浮かばないが、ゴリラみたいだと言われたトラウマだけは忘れられなかった。

これから好きになる男の子が現れたとして、私はまた人間のカテゴリーにも入れてもらえないのではないかと、思春期真っ盛りの頭に洗脳の域で刷り込まれ戦慄した。


そして現在私は──