もじもじしながらも、古川先輩が満足するまでなされるがままになっていると、

「具体的には何するかちゃんと教えてもらえませんか。横道逸れてないで。俺もうすぐバイトの時間なんですよ」

すこぶる不機嫌な低い声が、隣から催促してくる。


びくっと反射的に震える私の肩。だって怖いんですもん。

そんな私を見て、小動物を愛でるかのように古川先輩はかわいそうに、よしよしと言ってもうひと撫でして着席した。

恐る恐る横目で見ると、腕を組んで親の仇でもとりかねない殺意にこもった瞳で古川先輩を睨み付ける真冬くんが、くすくすとおかしそうに笑う古川先輩の声にますます顔を顰める。こらこら、一応先輩なのにその顔はないでしょうが。なんて言ったら殺されそうだから言えないけど。

「あんまり急くと、愛想尽かされちゃうんじゃない。嫉妬深いのはよくないと思うな。それから、噛みつく相手は見極めないと痛い目見るよ?」

「いい加減俺でからかうのやめてもらえませんか。あと、古川先輩にだけは嫉妬深いとか言われたくないです」

「つれないなぁ」

「……いったい何の話を……?」

「小町先輩は知らなくてもいいことです」

「うわ今グサッと来た。私だけ仲間外れいやぁ……! うえーん」

「よしよし、泣かないで。ほら、素直にならないと伏見くん。むしろ今のは、琴吹さんが」

「それ以上無駄口叩くなら、部室から叩きだしますよ」

「……さてと、じゃあさっきの話の続きなんだけど」

うわー、切り替え早いな古川先輩。