もちろんまだ外出許可は出ていない。
記憶がないのに外を出掛けるのは危ないからだ。
でもそれを破ってまで外に行きたいという気持ちが、今のあたしには確かにあるんだ。
「……よし」
覚悟を決めて、部屋の隅にあるクローゼットを開ける。
お母さんが何枚か持ってきてくれていた服をあさっていると、その中の一つに目を奪われた。
それは…胸元に大きなリボンが付いた赤いチェック柄のワンピース。
女の子らしいそれは、なんだか今すぐ着なくちゃいけない気がして。
入院着を脱いでそれを着てみると、かなりあたしの体にしっくりきた。
「これ…誰に買ってもらったんだっけ?」
このワンピースを着たのは初めてな気がする。
まだ匂いが新しいから分かるんだ。
とても大切なものだった気がするんだけど……。
やっぱり思い出せない。
でも……思い出せる気がする。
あと少しで何もかも。
答えにたどり着ける気がするの…。
根拠はないけれど、直感的にそう思った。

