いつだってそう。三郷くんは他の女の子たちと比べても、私に対しては容赦がない。

それなのにこうしてふたりきりで一緒に飲んでくれたりするんだから、不思議なところだ。



「なんでかなぁ……なんでいっつも、振られちゃうのかなぁ……」

「そりゃー、笹原が猫かぶりだからだろ。外面はいいけど、実は結構だらしないところあるし」

「うっ……耳が痛い……っ」



うんまあ、自分でもわかってる。私はすきな人ができたらがんばってがんばって、必死に良く見せようと取り繕った自分を結局すきになってもらうから、化けの皮が剥がれたとたん飽きられちゃうんだ。

なんだかなあ。三郷くんの前だと、本当の自分を出せるのに。



「……つーか、こういうとこも良くないと思うけど」

「え?」

「彼氏でもない男の家に、平気で上がっちゃうところ」



ぐび、と缶に口をつけたまま、メガネ越しの流し目で見られる。

一瞬きょとんとしてから、私は思わず吹き出した。



「ふっ、“オトコ”って! 友達は、そういうカテゴリーに入れないってばぁ」

「笹原がそうでも、世間一般的にはだいぶ尻軽だぞこれ」

「し、尻軽……」



ショック……三郷くん、私のことそんなふうに思ってたんだ。

ひんやりしたテーブルに頬をつけてうなだれる私を完全に放置して、彼はしれっと続ける。



「まあ別に俺は、笹原の根本がただのあほって知ってるから尻軽だろうがビッチだろうがどうでもいいけど」

「三郷くんが1番ひどいよね」