慣れた様子でテーブルにコンビニ袋を置いて、脱いだコートはハンガーへ。

ちゃっかりソファーとテーブルの間にあるスペースを陣取り、ガサゴソと自分が買ってきたものをあさる。



「ほら、三郷くんにはプレモル! ふんぱつしちゃったよ!」

「奮発はいいとして、土曜の夜10時にアポなしでいきなり人んちに押しかけたことをまずあやまれよ」

「ゴメンナサイ」



プレモルを持った右手ごと掴まれぐりぐりそれをひたいに押しつけられながら、さすがに私はようやく謝罪。

ひとまず満足したのか、彼は同じくテーブルの前に腰を落ち着かせる。



「笹原って、よくそんなんで営業の仕事やってるよな」

「そんなんってなによぅ。三郷くんこそ、そんな無愛想な銀行員がいていいの?」

「なめんな。営業スマイルは得意だ」

「………」



淡々とビールのプルタブを開けながら言い放った彼に、思わずおつまみを開ける手が止まった。

ほんと、こんな人でも学生時代実は結構モテていたんだから、世の中間違ってる。


彼、三郷くんとは、大学生の頃からの友人で。

私と仲が良かった女友達と三郷くんの男友達が付き合い始めたことがキッカケで、一緒にいる機会が多くなった。

イケメンだけど毒舌で、無愛想で。

だけど裏表のない彼のそばはなんだか居心地が良く、社会人2年目を迎えた今もこうしてたまに会ったりしている。