好きと言えなくて

ろくに睡眠が取れないまま撮影は続いた。


そんな私を喜村マネーが気づかってくれ、喜村マネー特製のお弁当を作ってくれたり、ぐっすり眠れるグッツを揃えてくれたりで喜村マネーの見方が変わる。


「あいつ本当は真面目でいいやつなんだけど、両親が偉大過ぎて可哀想なんだ。」

母親が大物女優とか?


もしかして、喜村悠里(ゆうり)


喜村悠里は大物演歌歌手で女優業もしてるし、確か旦那様は俳優の高村向陽。


芸能界に疎い私でも知ってる二人だ。


喜村マネーはあの大物演歌歌手と大物俳優の子供。


親が大物過ぎると子供は卑屈になるのか。


私には分からない世界だから。


この映画に二人がゲスト出演するらしい。


喜村悠里に会えるなんて、父さんが彼女のファンだったから、歌も少しは知っていた。


「綾華も喜村音楽事務所に入ったから、挨拶はしろよ。」


そ、そうだよね。


あれ、なんかこれおかしくない。


私はこの映画だけの出演にして欲しいとお願いしたよね。


芸能人になるつもりはないと。


今回だけだと心に誓った。


この仕事は私には向いていない。