似たような写真を何枚も何枚も撮る。


だけどその中のどれ1つとして、同じ颯は存在していない。


1秒ごとに少ずつ変化する颯を切り取ることに、興奮を覚えた。


そうしているといつの間にか時間は経ち、特別授業が終わってしまった。


授業が終わる前にここから立ち去るつもりだったあたしは、焦る。


どうしよう。


3年生はこのまま帰るみたいだし、廊下にいたら颯にバレてしまう。


あたしは慌ててデジタルカメラを鞄にしまった。


そして立ち上がったその瞬間。


教室の前のドアが開いた。


ドキッとして立ち止まるあたし。


颯の担任の先生と目があい、窓ガラス越しに颯がこちらを見ている事に気が付いた。


どうしよう、どうしよう、どうしよう……!


心臓がバクバクと跳ねる。


汗が背中をつたい、呼吸が乱れる。


その時だった……。