コンビニから家までは5分程度で、大きな道路を真っ直ぐに歩いて行けばいい。


今は車の通りも多いし、叶さんとすれ違ったりしても何も怯えることはない。


自分にそう言い聞かせ、歩いて行く。


まだ薄明りがさしている中、街灯に明かりがつき始めた。


オレンジ色の街灯に照らされながら目の前自宅へと足を急かす。


その時だった。


後方から誰かが近づいてくる足音がした。


思わず立ち止まり、振り返る。


足音の主は想像以上にあたしに接近していたようで、振り向くと男性の胸板があった。


咄嗟に体を反転させて逃げようとする。


が、遅かった。


男はあたしの前に立ちはだかり、あたしの腹部を殴りつけてきたのだ。


痛みに呻き、視界が歪む。


男はそんなあたし引きずるようにして車に押し込め、車が発車すると同時にあたしの意識は遠のいていったのだった。