制服姿のままリビングにずっといる事もできず、あたしはゆっくりと階段を上がり始めた。


お兄ちゃんの部屋からは2人の話声が少しだけ漏れて聞こえてくる。


どんな話をしているのか気になるけれど、立ち止まって聞き耳を立てるほどの勇気はなかった。


あたしはすぐ自分の部屋に入り、ドアを閉めた。


カバンを置いて、ホッと息を吐き出す。


お兄ちゃんは、きっと叶さんの正体を知らないのだろう。


知っていたり勘づいたりしていれば、家に呼ぶ事はないはずだ。


あたしは手早く着替えをして、スマホを開いた。


アプリを起動すると、そこには誰もいない部屋が現れる。


今ここに叶さんが来ているから、部屋には誰もいないんだ。


ジッと画面を見ていても、主が帰って来るような気配は見られなくてあたしはアプリを閉じた。


自分の家に4人の女の子を殺した犯人がいる。


そう思うと息苦しくなって、あたしはスマホと財布を掴んで部屋を出た。