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警察を目の前にしても、あたしは大して動揺しなかった。


杏里が目の前で殺され心がポッカリと開いていて、喜怒哀楽が抜け落ちてしまった感じだ。


あたしは先生に促され、特別室のソファに座った。


警察に聞かれた事を淡々と答えながら、あたしは颯の部屋にあったクマのぬいぐるみを思い出していた。


あれは誰かがすり替えたものだった。


颯の部屋にクマの監視カメラがあると知っている人物じゃないと、出来ない事だ。


だとすれば……。


犯人は颯のすぐそばにいる。


思考回路が完全にそっちへ向かった時、警察から解放されたあたしはすぐ教室へ戻り、カバンを持って学校を出たのだった。