あたしは放心状態になり、スマホを手から落としてしまった。


その音でハッと我に返る。


アプリは閉じられていて、画面は真っ暗だ。


「純白、俺の部屋に忘れ物でもしたのか?」


颯がそう声をかけてくる。


洗濯機のスイッチを押してきたのだろう。


一階から低い機械音が聞こえてくる。


「別に……」


あたしはそう答え、ヨロヨロと立ち上がる。


「おい、本当にどうしたんだよ」


颯があたしの手を握り、心配そうに声をかけてくる。


今、ついさっき杏里が殺された。


それを説明なんてできるわけがない。


あたしは颯の体を押しのけて廊下へ出た。


まだ吐き気がする。


全部出してしまいたい。


そう思い、ふらつきながらも足はトイレへと向かう。