どうして杏里を叩いてしまったのか、冷静になっても全く理解できなくて、あたしはトイレの個室で大きなため息をはき出した。


杏里の言っていることは正しい。


いつでもそうだ。


杏里は真っ直ぐで、真っ白で。


小さくて弱弱しいけれど、杏里の純粋さはすごく強さも感じられた。


だから大好きだった。


それなのに……。


あたしは自分の右手を見つめた。


真っ直ぐすぎて、痛かったんだ。


杏里の視線が自分の胸に突き刺さる。


そんな感じがしたんだ。


親友だって、言ってくれたのに……。


それから1日、あたしは何度も杏里に謝ろうと思った。


だけど、その度に言葉は喉の奥にひっかかり、何も言えないままに終わってしまったのだった。