「お父さん、お母さん……ごめんなさい。私のせいで」
「もう、嫌よ。あの子を売りましょう」
「……わかった」
 私の小さくて情けない声は、父と母には届きません。いえ……もしかしたら聞こえないふりをしているのかもしれません。
 だって、もう随分長い間言葉を交わしていないから。
 私を庇ってくれているように見える父も、私が殴られ、石を投げられている姿を見ても何も言ってくれません。

 父はきっと私が怖いのでしょう。
 『呪われた子』に呪われてしまうのが。
 誰かを呪う力なんてあるはずもないのに。
 例え普段、誰にも見られないように右眼を黒い布と髪で隠していようとも。
 ああ。私は、私は……。

 ーー私ハ誰ニモ愛サレナイ。