部屋に入ってすぐに目に入る高級そうな机と椅子に奴隷商人さんが座っていて、まるで犯罪者でも見るような厳しい視線を向けて来る。その迫力に身体が震え上がり、答える声も震えてしまう。
「以前もお話したかと思いますが、村に偶然訪れた商人さんに教えて頂きました」
 この疑問はずっと奴隷商人さんの中にあったはずだ。けれど、ただの商品である私の過去など、興味がなかったのだろうか、一度も詳しい事を問われることがなかった。
「ああ、そのことは私も覚えているし、納得もしていた。しかし、お前の能力を説明するには余りにも可笑しな点が多すぎる」
「私は奴隷ですから、説明が必要ならば、全てお話します」
「必要だ。私はお前の能力を甘く見ていたようだ。販売元の変更を考えている。その際に、お前の過去に問題が無いか確認をしなければならない。だから、隠さずに全てを話せ」
「はい」
 それから私の世界を広げてくれた二人の《解る人》について、そして私の能力について、私が知る全てを語り始めた。