「私は生まれたその瞬間から、『呪われた子』でした」
 そう言いながら、私は手錠で動きにくくなった手で右眼にあてていた黒い布を外す。
「口で説明するよりも見た方が早いですね。私の右眼には……この通り、色が無いんです」
この布だけは着替えの時に唯一触れられなかった所。全体的に綺麗になったことで、より一層泥まみれの布が浮いていたことだろう。
「な……っ!?」
 私の右眼を見て、奴隷商人さんの崩れることがなかった表情か初めて歪む。
「これが私が『呪われた子』と言われる理由です」
「……」