「合格ですか?」
「ああ」
奴隷商人さんは、歓喜を隠しきれない様子で、顔を赤くしている。
「君は……そうだな、金貨5枚でどうだ?」
……っ! 金貨5枚!?
それは、私達にはあまりにも高い金額。
銅貨10枚で銀貨1枚。そして、銀貨100枚が金1枚。
普通に過ごすなら、1ヵ月銀貨10枚程度で充分に事足りる。少し我慢すれば、5、6枚でも過ごせるはずなのだから。物々交換も多い村では、お目にかかる事はない金額。
ーー人を売らない限り。
しかも、そんな金貨が5枚。
両親は信じられないとでも言うような目で私を見て、ゴクリと唾を飲み込む。
「売ります」
父が、隠しきれない歓喜に頬を緩めているのが、視界に掠めた。