彼女に渡したのは可愛らしい表紙とは裏腹に、難しい言葉が使われている絵本だ。事実が掻い摘んで描かれていて、子供が読むには荷が重いもの。
しかし目の前にいる『呪われた子』は、スラスラと読み上げ、なおかつ聴き手にわかりやすく聴けるように感情表現もきちんと出来ていた。
ーー有り得ない。
『呪われた子』と言われている位なのだから、まともに育てられなかったはずだ。蔑まれ、友人を作ることすら叶わないような。
そんな子供は、大抵怯えて俯き会話が出来ない場合が多い。いや、それが普通だ。
しかし彼女は、背筋をピンと伸ばし、私の質問にも正確に答えた。
確実に優秀な人間だ。必ず高値で売れる。
文字などを商人に教えて貰ったと言っていたが、商人ならば長時間村に滞在する事もないだろうし、金にならない事に多くの時間を使う事もない。 つまり短時間でこれだけマスターした事になる。
「素晴らしい、合格だ」