「お前が『呪われた子』か」
 奴隷商人の方が静かに、しかしとても冷たい目で私に話しかけて来る。
「……はい」
 もう解るだろうがーー私は今日、売られる。
「歳は?」
「7歳です」
「そうか。では、お前は何が出来る?」
 恐らくこれらの質問によって私の値段が左右される。両親の為にも高値で売れると良いけれど。
「そうですね……家事は一通り出来ます。読み書きまた、計算も可能です」
「ほう、計算も」
 奴隷商人さんが驚くのも当然だ。私達のような村人は毎日ただ生きる事に必死で、読み書きや計算といったものは商人や役人といった限られた人しか学ばない。
 何より普通は、村に住んでいる子供が読み書きや計算を習う機会なんてあるはずもない。あるとすれば、村長の子供くらいだ。
「はい。以前、この村に立ち寄った商人の方に教えてもらったんです」
 私が6歳時、つまり一年前に偶然この村に立ち寄った商人から、今まで知ることが出来なかった様々なことを教わった。彼がいなければ、私は自分の無知さをすることすら出来なかっただろう。
「なるほど。では確認の為に、簡単なテストを行おうか。優秀な者は、村での暮らしよりも裕福な暮らしが出来、高値で取引される」