君が罪なら俺は罰を受け入れる









『私も困惑した』





付け足すかのようにバカ女は呟き、近くの新婦側の参列席に腰かけた。



そこからイエス・キリストの像に体の正面を向け、バカ女は口を開く。










『小原が突然いなくなって、小原との連絡も突然取れなくなって。

 助けて欲しい時に、声を聞きたい時に、小原が私の傍に居てくれなくて、すっごい困惑した……』






俺はバカ女がイエス・キリストの像に向かって話す、その横顔を見つめる。



どこか寂しそうに、どこか悲しそうにも見える横顔を見つめながら、なんて返そうかと考えていた。








『ねぇ、小原……。


 小原は、私のことが嫌いになった……?

 私のこと、面倒だなって……嫌になって、だから突然いなくなったの?』





でも、バカ女はそう問いかけてきたんだ。



揺れる瞳を俺に向けながら、そう問いかけてきた。







ーー嫌いになった?


(もし本気で嫌いになることが出来たのなら、俺はこの恋にこんなにも苦しむことはなかったよ?)





ーー面倒になった?


(面倒だよ、お前は。でも一度だって面倒だからって理由でお前の傍から離れようだなんて思ったことはなかった)




ーー嫌になって、だから突然いなくなったの?


(嫌になんてなる訳がない、ただ……世界で一番、幸せになってほしかっただけ……)










『私……小原に嫌われ』



『俺はお前の支え役でいることが嬉しかったし、お前の慰め役になれたこと、すっげー嬉しかったよ?

 
 人に甘えること、泣き顔を見せること、それは見せても安心だって思うから出来ることだし。

 誰かにそうやって思ってもらえるのは、誰かに必要とされることは生き続ける限りの最大の喜びじゃん?

 
 だから、逆に百合には感謝してる』







被せた言葉に、バカ女の顔が歪んでいく。







『感謝することはあっても、感謝されることなんて何もしていないのにね……』