真横にいる櫻井さん。
真横にいる櫻井さんはフッと力なく笑った。
『小原さん、俺……あの日の約束、守れそうにないです』
真横の櫻井さんはそう小声で呟くと、俺の肩に手を置いた。
それは力の籠ってない置き方で、でも俺の肩に置いてから、その手は存在感を示しだす。
『…………櫻井さん?』
俺は櫻井さんの方に視線を向け、この手の意味を表情で問いかけた。
『あの日の約束を守れない理由は俺じゃなくて、百合ですから』
櫻井さんはそう言うと、バカ女の方に視線を向け、
『約束を守れない理由、お前から小原さんに話してやんな?』
櫻井さんは少しだけ困ったような顔で、でもとても優しい顔でバカ女にそう伝えた。
バカ女は今にも泣きそうな顔で櫻井さんを見つめ、首を縦に一度振った。
(……泣きそうな顔の理由は何?)
いつもいつも、泣いているバカ女の隣に俺はいたのに。
たった一年離れただけで、俺はバカ女の考えてることを把握出来なくなった?

