心拍数、脈拍数、どれも今、計測してもらったらすごい結果が出そうだ。
そんなことを考えながら受付まで行くと、そこには懐かしい姿があった。
元彼と仲睦まじく微笑む、バカ女の姿-……
それは誰かがどこからどう見ても結婚が決まって嬉しそうな2人にしか見えない。
(……良かったな。一番好きな奴と結婚出来て。)
(ありがと。俺との約束を守って、アイツを幸せにしてくれて。)
俺は幸せの絶頂にいる2人の姿を交互に見つめながら、そう心の中で呟いた。
『……お待たせして申し訳ありません』
そう声をかけると、2人が俺の方に同時に振り向いた。
『………小原……』
俺の顔を見た時、バカ女はまるで時が止まったかのように、俺の顔を見つめてきた。
『お久しぶりです。
お久しぶりにお会いする2人が、こうしてこちらの式場に出向いてくださったこと、本当に光栄です。
お二人とも、ご結婚、おめでとうございます』
俺は、もうきっと仕事の顔だ。
大丈夫、何十組にもこうして同じ台詞を同じように微笑みながらかけてきた。
もう俺の顔が、俺の口が勝手に仕事モードになれる。
『お久しぶりです。
結婚が無事に決まって、どうしても貴方にきちんと報告をしたくて、この式場に来たんです』
元彼、いや新郎の櫻井さんが優しい笑みを浮かべながらそう話す。

