『…………小原………』








『………だから、俺からお前の想いを元彼にぶつけて……』








そこまで言った時、俺の目に映ったのはトレーに注文した飲み物をのせて友達と話しながら歩く元彼の姿ー………






『……あ…』




俺の言葉に、バカ女も後ろへと振り向く。



振りむき、その瞳に元彼の姿を映したのだろう。





『………あ………』




バカ女も小さく、短く、そう口にした。






まだ元彼も友達も、俺たちの姿に気がついていなく、俺は唾を呑みこむ。








『俺、行ってくるから。

 お前はここで待ってろよ』





俺がそう言い、手を離すと、バカ女は俺の洋服の裾を引っ張った。







『………私も行く………小原は元々私と元彼との話には関係ないから……。

 小原が何か言われたら……申し訳ないから………』






『………俺は何言われても平気だけど。

 ま、お前の判断に任せるよ、ついてくるかどうかは。』





俺がそう言うと、俺の隣にバカ女は立ち、一緒に歩き始めた。