『………小原!ちょっと待って!
元彼の所って……どうして……?
私……きっぱり振られて……だから諦めなきゃいけなくて……』
『………ずっと一緒にいたかったんだろ?
だったら……だったら、ずっと一緒にいろよ。
俺、元彼を一途に想って、元彼に幸せにしてもらって、いつも幸せそうにしてるお前が俺の自慢だった……。
だから、お前には幸せそうにしててもらわなきゃダメなんだよ……!』
俺はバカ女の手を引いて、走り回る。
どうしても、コイツの元彼にもう一度会いたくてー………
『………小原……友達でも……もう元彼にはきっぱり断られてるの……!
だから……だから本当に元彼にウザがられると思うし……。
だから………』
『好きなんだろ?』
『…………好き………だけど………』
『今度は俺から元彼に頼んでやるよ。
まだ、絶対にお前に対しても気持ちがあるから。
だから……俺からちゃんと話すから、お前は黙ってればいいから……!』
俺の言葉に、バカ女からの返しはなくて。
俺は元彼の姿を探すのに必死になれた。
フードコートの方までやってくると、同じような背恰好をした人物もたくさんいて、俺はスピードを緩め、確認していく。
『…………ねぇ………小原……どうしてそんなに私のことを考えてくれるの……?』
その問いかけに、俺は足の動きを止め、一度間を置いてから後ろに振り向く。
俺に手を引かれているバカ女、その顔はとても複雑な顔をしていた。
『言ったろ、俺は友達だって?
友達だから、お前の幸せを一番に考えてやりたいんだよ』
(俺のことよりも、お前に幸せになってほしい。)
(お前の幸せな顔を見ることこそ、俺の一番の幸せだから………)