(俺はあと何回、コイツが別の男に恋している姿を見せられるんだろう)




(あと何度、コイツが他の男の元に行く姿を見届ければいい……?)





辞めることなんてすぐに出来るー……










『…………………俺だって、お前のことが好きだよ……』





そんな風に、バカ女に言ってしまえばー……


たった一言、それだけを言ってしまえば、俺らの繋がりは消える。






自分自身でもギリギリ聞こえた、その言葉は届いてほしい人には届かず。



それでも届かなくて良かったと、心の底から思う自分もいるー………








元彼の所に行けたバカ女。


元彼と一緒に来ていた友達はバカ女と代わり、元彼とバカ女だけで場内を出ていく。




そこまで見送り、一人シートにもたれかかる。







『……………何やってんだろ………俺は………』






『………アイツも完全に手放せばいいのに』





俺が呟くと間髪いれずに別の人間の声が耳元に入ってくる。




俺はその声の持ち主へと視線を変える。






そこには元彼の友達、が、立っていたー………