(……覚えてた?)



(でもその話をしてたのは二カ月も前のこと、なんで覚えてんの?)






『………よく覚えてたな、そんな前に話したこと』






『え、忘れないよ』





『……なんで?』





二か月前なんて、まだコイツは元彼とラブラブだって信じてた頃で。


コイツは確かホラー系が苦手……






『だって小原が生き生きと語ってたんだもん!

 それに私、結構、記憶力がいいんだよ?

 小原の誕生日も血液型も覚えてるし……あ!そういえばそろそろ小原の誕生日だね!』





すっかりと自分の誕生日を忘れていた俺。


バカ女の言葉に思い出し、バカ女が俺なんかの誕生日を覚えていてくれた、その事実が何よりも嬉しかった。


なんか……大袈裟かもしれないけど、それだけで誕生日の日付が特別な日付のように思えてならない。







『小原、一緒に小原の誕生日、お祝いしよう?』






『…………は?』






『だーかーらー!一緒にお祝いをしようって言ったの!』




バカ女は少し唇を尖らせ、俺を見つめる。





(誕生日のお祝い……コイツが?二人で?)






『それとも小原、誕生日に一緒に過ごしてくれるような彼女でも出来たの?』