『絵里ちゃんは幼い頃から母親がいなくて。
“母親”という存在にずっと憧れていたらしいの。
私は絵里ちゃんの産みの親でもないし、成長を支えてきた人間でもないけど……。
きっと母親にとって“娘を嫁がせる”ってすっごいことだと思うから。
絵里ちゃんのお母さんが出来なかったことをこれから母親になる私がしてあげたくて。
今の若い子には重い話かもしれないけどね』
ーー“重い話”
確かに坂巻さんが言うように、重いかもしれない。
ハッキリ言って人生で一度の結婚式には自分が選んだ、最高のドレスを着たい、それが本音。
でも………。
自分の為に、自分のことを想って、自分のドレスを作ってくれた、その事実を知った時はすごい嬉しいだろうな。
『きっと絵里さんは喜んで着て下さると思いますよ』
(あ……さっきよりも優しい顔。てか嬉しそうな顔……)
坂巻さんに見せる笑みは本当に嬉しそうで。
『小原君、いい人いるの?』
突然の坂巻さんの問いかけに、彼の顔が驚きの顔に変わった。
『…え、どうしてですか?』

