『ねぇ……鮫島君。
英人の恋、叶ってくれて良かったね』
昼休み、誰もいない校舎裏で私と同じように壁によりかかった鮫島君に声をかける。
『英人がうまくいって、泣くと思ってた』
『…………泣かないよ。英人の前では』
(だって英人にしたら、とっても幸せなことなんだもん。私はいつも英人と同じことを思って、同じことを考えていたいから……英人が笑うなら、英人の前では泣かない………)
『あっそ。泣いたら慰めてやろうかと思ってたのに』
『鮫島君こそ、彼女が英人とうまくいって泣いたりしないの?』
『英人とアイツ、気持ちが重なり合った瞬間に俺、すっげー近くにいたから』
『………え………』
『だから吹っ切れた。
指くわえて見てるだけの恋愛なんてキツイだけだし。
俺にはそういう恋愛は無理。身を粉にしてまでの恋愛は俺には向かないから、あの瞬間に近くにいられて良かった』
そう言って笑う鮫島君はやっぱりすごいと思う。
例えそれが強がりだとしても、その強がりを貫いていくんだもん……
やっぱりすごい。
『ねぇ………鮫島君。
私、本当に英人の想いが届いて、恋が叶って嬉しい。
でも………勝手に想ってるだけってのは……やっぱりダメ…なのかな……?』
鮫島君が一生懸命貫こうとしているのに。
私は鮫島君に問いかける。
『邪魔をするのは許さない。
英人だけでなく、アイツが悲しむのは嫌だから。
でも、ただ黙って想ってるだけってなら、俺はいいと思うよ』
うんーー
邪魔はしない。
私も英人の笑顔が見れなくなるのは嫌だから。
でも、静かに英人を想うだけなら、いいよね……?

