『………あなたは?』
そう問いかけられ、“ただの友人です”なんて言いたくない。
これは何に対してのプライドなんだろうか、でもアイツの一番大切な奴に“ただの友達です”なんて言いたくない。
『………え……もしかして百合も』
『アイツは浮気なんてしません!』
なかなか答えない俺に、再び問いかけようとする男に俺はきっぱりと否定する。
アイツが浮気するような女じゃないこと、俺はずっと見てきたから、見せられてきたから、だから断言出来る。
『付き合ってる時も、今も、アイツにはあなただけです』
『………じゃ、百合を好き、とか?』
『後は俺が引き受けます。
だから捨てた女に情けをかけるな』
俺はそれだけ言い捨てて、アイツの一番好きな奴を追い越し、公園の方へと歩いていく。
彼氏だった男は追いかけてくることもせず、俺に何かを問いかけるでも話しかけてくることもなかった。