「離せアホ」 そう言いながらゼンはシオン様の手から逃れる と、地を蹴って横の岩壁を軽々と登った。 途中のくぼみに足をかけて、少し突き出た岩を 掴んでこちらを見下ろす。 「これぐらいの崖なら慣れてる。これで信じたか小娘」 目の前でほぼ垂直な崖を軽々と登られて、 少女もさすがに反論できなくなったようだった 「…悪かったわよ。急に襲ったりして。」 そっぽを向きながら、少女は謝罪すると、 「崖までなら、案内してあげてもいい」 と、少し上から目線で言った。