ガラガラっと石が落ちる音がして、



私は首を捻ってそちらを見やる



すると、崖の淵のギリギリの所でシオン様が


踏ん張っていた。






「シオン様、気をつけて下さい!これでもう7度目です!」



エーラがシオン様の腕を引っ張って支えながら



声を上げる。




「す…すまない」



このやり取りも、もう7度目だった。




私は飛べるので、落ちることもないし、


ゼンは驚くほど身軽に跳ね回るので、落ちそう


にない。



エーラもゼン程ではないにしても身軽で、


次々に岩場を超えていく。



ライアはと言えば、十年も山奥の村に住んで


いたため、地盤の強そうな場所を見極める


のがすごく上手い。




こんな人揃いだからこそ、少しばかりシオン様


の危うい場面が目立つみたいだった。





シオン様は、武芸に音楽、文学にまで優れて


いるけれど、山越えとなれば一番慣れていない


のだ。





それにしても、やっぱり市場の方は危ないと


判断してこちらの道に来たけれど、


転落死したのでは全く意味がなくなって


しまう。