この旅の仲間に、ただの人間はエーラしか
居ないのだ。
私もゼンもライアも何百年何千年と生きた
怪物であるし、シオン様の色の変わる瞳や、
この世のものとは思えぬほど美しい金色の髪
からみれば、普通の人のそれではない。
これは憶測なだけだけれど、自分の言葉が
エーラを少なからず傷つけていたわけが
わかった。
まぁ、今シオン様とライアに向けていた視線は
私と出会うまで二人きりで旅を続けてきて
いたのだから、シオン様の隣に居るのが自分
ではないことに少し妬いたのかもしれない
けれど。
なんにしても、今更、
あの時はごめんなさい、などと
謝る気にはなれなかった。
これからは、発言に気をつけようと決めて
私は、しばらくエーラが入っていった家屋を
見つめていた。

