「え…?」
呆気を取られたようにエーラが声を発すると、
シオン様は、
「生き埋めになって死んだとでもなれば一大事じゃないか。私はそんな理由で大切な仲間を失いたくない」
とエーラ、私、ゼンと順番に顔を見ながら
言った。
そのシオン様の優しくおおらかな言葉に包まれ
私たちは顔を見合わせた。
「さて、クオンが頑張ってとってきてくれた獲物だ。ありがたく村の皆で頂く事にしよう」
シオン様のその言葉に、私たち三人は少し
笑い合ってから、少し遅い夕飯の支度を始めた
私が水を汲みにいこうとすると、
「その必要は無いですよ」
と、後ろから声をかけられた。
それに振り返ってみると、後ろでまとめあげた
深い海のような色をした髪を揺らしながら、
ライアがこちらを見て立っていた。
上を向いた手のひらの上で、ユラユラと水が
揺れる。
「あ、そうね。ありがとうライア」
私はお礼を言いながら鍋をライアに差し出し、
その中に水を入れてもらう。

