黄金と四聖獣




木から落ちたゼンは私がたっている地面を



通り越して、見えなくなった。




枯葉で隠れていて見えなかったけれど、


そこには大きな穴があったのだ。




「「いって!!」」



穴の中から二つの声が聞こえる。



あぁ…エーラも穴に落ちてたんだ…




穴をのぞき込むと、エーラとゼンが


折り重なるようにして倒れていた。





「って、掛かったのお前かクソガキ!獲物よりも先に掛かるとかお前の知能は獲物以下か!」



「いやお前こそふざけるなよ、なんで仕掛けた本人が上から落ちてくるんだ間抜け!」




「あのチビが矢を射ったからだ!」



そう上から見る私を指さす。





「ご…ごめんなさいゼン。急に木からぶら下がって出てくるから…」



誤って矢を放ってしまったのは大失態だ。





「それを避けて自分の落とし穴に落ちるなんてすごい馬鹿だな」


エーラが穴の中でパンパンと服についた


砂を払いながら言う。





「あ?お前に言われたくねぇよクソガキ。俺の落とし穴不意にしやがって」



それにゼンは睨みを効かせながら反論する。




…なんかもう…口論が低レベルだ。




「エーラ、ゼン、今助けるから」



と言って、穴の中に入ろうとすると、ゼンが



「俺は爪をたてて登れる」



と言いながら身軽に穴の中盤まで登ってきた。




そこでゼンが掴んだ少しせり出した石が


スポッという効果音が付きそうなぐらい綺麗に


抜ける。






「あ」



私は一言そうつぶやくと、再び穴の底へ落ちて


いくゼンを見送った。





またしても落ちてきたゼンの下敷きになった


エーラは、ゼンを指さして声を荒らげながら





「何やってんだアホかお前!!」



と叫ぶ。