私は家屋に急いで戻ると、
薬の入った巾着を片手に、そのまま家屋の裏を
通って、フェルナンに近くの森の中で
追いついた。
多分、フェルナンなら受け止めるだろう。
そう思いながら、巾着をフェルナンの背中に
向かって放り投げる。
すると、フェルナンはこちらに見向きもせず
巾着を掴み取った。
「なに」
迷惑そうに振り返ったフェルナンに、
「止血剤と鎮痛剤、あげる」
とだけ言うと、引き返そうとした。
きっとまた、挑発のような口調で何か言われる
と思ったから。
「…こんなの要らない」
という声が聞こえて、ムカっとする。
きっとこれからもまた無茶する気だろうに。
それで死んでも、もう私の知ったことではない
のだけれど。
私は、振り返らずに村に戻ろうとした。
けれど、その時、後ろから手首を掴まれた。

