私は無理やり傷口を抑える手を退けさせて、 そっと傷に手を当てた。 …この人は、私が朱雀だって知ってる。 力を使って、それを見られたところで そんなに問題はないだろう。 私はそう思いながら全力で力を流し込む。 「…なにしてんの」 そう呟くように言って、私の手を退けようと するフェルナン。 けれど、傷が塞がり始めるのに気づいた フェルナンは驚いて自分の腹を見た。 「…それが朱雀の力ってわけ?」 そんなフェルナンの質問にも答えずに、 私は傷を見つめる。