私のその言葉に、シオン様は困ったように


頭をかく。





「あぁ、わかってる。でも、力が欲しいんだ。私についてきてくれる仲間をみんな守るだけの力が」


そう言って優しく微笑んだシオン様の瞳は、


金色から水色へと戻っていった。




それに、私は密かに安堵する。




この人は、シオン様だ。


麒麟様の生まれ変わりである前に、シオン様


という、一人の人間だ。





重ねてはダメ。


少なくとも、シオン様に麒麟様の記憶が


芽生える、その時まで。





その時は、来るかもしれないし、


来ないかもしれない。




けれど、来ないとしても私はシオン様に着いて


行くんだ。




この気持ちは…まだ、心の奥底にしまっておく


溢れないように、きっちりと蓋をして。