「フィアネ?」


私は、背後から聞こえたそんな声に振り返った





「こんなところに突っ立って何してるんだ?」


そう首をかしげて聞く姿に、


金色の髪をなびかせ、金色の瞳でこちらを


見つめて小さく微笑む姿に、




私は目を奪われた。




…麒麟様…


そう口を開きかけて、ハッとする。




「シオン様、ちょっと考え事を…」


言葉を訂正して、にっこりと笑ってみせる。




そんな私に、シオン様は近づいてきて目線を


合わせた。




「…顔色が悪いな、怪我はまだ完全に治ってないんだろう?」


私を気遣うように、シオン様は持っていた


羽織りを私に掛けた。





近くで見るシオン様の金色の瞳に、私は少し


ドキッとしてしまう。




そんな不純な考えを振り払って、私は



「いえ、怪我はもうほとんど痛まないので…」


と、答えた。




「じゃあ、冷えたか?夜の冷え込みは酷いからな…」


と、金色の瞳で私の顔を見るシオン様。




近くでシオン様を見ると、額にうっすらと


汗がにじんでいた。



背中には、シオン様の剣が背負われている。



「…シオン様は、また剣の稽古ですか?」


私がシオン様の背中をのぞき込むようにして


見ると、シオン様は困ったように




「バレたか…」


と言った。




「私の心配をするよりも、シオン様こそ、ちゃんとねてください」