私は羽織るために外套を手に取って、 そのままそっと裏口から外へ出る。 近くの山でかき集め、驚かせようと隠して おいた薬草と野草を玄関に山積みにして、 美しく咲き誇る一輪の赤い花をその上に添えた 「いままでありがとう、お父さん、お母さん」 私は小さな声で呟くように戸に向かって言うと 夜の山の中に入った。