それでも、一人娘だった私と両親はそれなりに


幸せな家庭を築いていた。




五歳になり、山に山菜を取りに行くと言う


父親について、山に入った時のことだった。





「お父さん、これ食べられるよね?」


私はそう言って、地面にたくさん生えている草


を指さした。




「あぁ、この間教えたばかりなのに、もう覚えたのか?」



父は、驚いたように私を見て言った。



それに対して、


「うん!」


と元気よく返事をして、笑ってみせる。




子供っぽく、子供っぽく…


私の頭の中は、そんなことでいっぱいだった。




これ以上、村の人たちに怪しまれないように


恐れられないように。



なるべく、普通の子でいよう。



そう思っていたけれど、前世の影響でか、

祠を探しに行きたいという気持ちがひどく

大きくあった。