ぺトラスを睨みつけて、私は
なぜここにいる、と問おうと口を開こうとした
が、その前に、ぺトラスの背後で何かが
光った。
ゴッという鈍い音がして、ぺトラスはその場に
倒れ込んだ。
光ったように見えたのは、黄金色に輝く
シオン様の殺気立った瞳だった。
シオン様が、ぺトラスを殴り倒したのだ。
「……貴様、まだくたばってなかったか」
ぺトラスは殴られた後頭部をさすりながら、
何事も無かったかのように起き上がった。
「…そっちこそ、今ので普通に立ち上がるか?」
シオン様は苦笑いしながら、真剣な顔で
ぺトラスを睨んだ。
シオン様はよく見ると傷だらけだった。
パッと見ただけで切り傷は四箇所。
殴られたのか、頬も腫れている。
私はさっと持ってきていた弓矢を構え、
ぺトラスの首めがけて矢を放った。
それを、ぺトラスはこちらを一瞥もせずに
片手で掴み取った。
「…!!?」
そして目線だけをこちらに向けると、次の瞬間
ぺトラスの手は、私の目の前まで迫っていた。

