「っ…!!」
明らかに普通じゃないエーラの状態に、
私は素早く羽を出すと、
「クオン、少し降りててね」
と言ってから飛び出し、エーラの真隣で
急停止して左腕に触れた。
「!!…フィアネ!?」
エーラは驚いたようにこちらを見る。
その時、風を着る音がして、隣にいたエーラの
体が吹き飛んだ。
エーラは背後の木に打ち付けられて止まり、
ゲホッと咳き込んだ。
「クオン!!ゼンを呼んで!」
そう反射的にクオンに言うと、クオンはすぐに
踵を返して村の方へと素早く飛んでいった。
一方でエーラを吹き飛ばした張本人はこちらを
みてニヤリと余裕の笑みを浮かべた。
風になびく青みがかった黒い髪。
あの時…白虎の祠の前で会った、ぺトラス
と呼ばれた男が、剣を構えてこちらを見ていた

