「あの、フィアネ?」
そうライアに声をかけられ、
「ん?」
と聞き返す。
「さっきの、白髪の男がフィアネのことを朱雀って呼んでました。あれってどういう…」
そうライアがこちらに興味津々で聞いてきて
おどろく。
「…神話の麒麟と四聖獣の物語を知っている?」
そう私が聞くと、ライアは頷いた。
なんというか…私たちが出会う人は、
この廃れてしまった神話を知っている人が
異様に多い気がする…。
そう思いながら、私は、
「その神話の中の朱雀が私なの」
と、なんの信憑性もなく、ほとんどの説明も
省いた文章でいう。
すると、ライアの表情が固まった。
…無理もないわよね…
信じられるはずもない。
「…なーんて、冗談で…」
そう言おうとした瞬間、頭上から声が降って
きた。
「何してた、ちびイーリアと青髪」
…この呼び方は…と見上げると、木の上から
ゼンがこちらを見ていた。
「話したいことがある、すぐ来い。あ、お前もだ、青髪」
そう言いたいことだけ言い放つと、自分は
さっと木を伝って、村のほうへと行って
しまった。
…ゼンってなんであんなに身軽なんだろう…