この人がここに残るのなら、やっぱり


シオン様には早く知らせなきゃ…!




私はそう思い、ライアにも何も言わずに


静かに走り出そうとした時、




「あの時は僕の上官に命令されたから仕方なく襲っただけで、僕はシオン様の命に興味はないからご心配なく」



と、フェルナンはそっぽを向きながら言った。





…その言葉をすんなり信じて、安心できたら


いいのだけど…





「なんのこと?私は今、あなたと同じ白髪の男の人との二人旅をしてるの。あの時の金髪のシオンという人となら、あの後すぐに別れたわ。」


と真顔で言い放つ。



それにフェルナンは、どちらでもいいとでも


いうように首をふると、ため息をつきながら


その場にいた役人に、命令を出し始めた。






…本当にもう、シオン様の命はどうでもいいの


かもしれない…



フェルナンの態度を見ているとそう思って


しまうけれど、念には念を。


と思って、私はそのまま村への帰り道を


走り出した。