「この村で起こった流行り病も、足を踏み外して崖から落ちてしまった子供も、俺はどうすることもできずに、ただ死んでしまうのを見ているだけでした。」
それを聞いて私は、
「崖から落ちた子供なら、私にもどうにか出来たかもしれないけれど、流行り病に関してはどうにもできないわ。私は病は治せないの。だから、何も出来なくてもどかしい気持ちは知ってる」
と返した。
「そうなんですか」
少し残念そうにつぶやくように言ったライアに
「でも、解熱などに効果がある薬草なら知ってる。もしよかったら後で教えようか」
と、私がライアに言ってみると、
ライアは目を輝かせて、
「本当ですか!?」
と聞き返してきた。
その姿がなんだかおかしくて、くすっと
笑いながら、私は
「うん」
と返事をした。

