ライアはそう言ってから、手のひらを
上に向けた。
すると、前方から何かが飛んでくるのが見えて
私は目を凝らす。
…水…?
水がまるでボールのようになって、こちらに
飛んできているのだ。
「え…え!?」
見る見るうちに近づいてきた水は、ライアの
手の上まで来ると、少し震えてその場で停止
した。
「す…すごい!ボールみたい!!」
隠し芸のような芸当に、私はつい興奮
してしまった。
「触ってみてください」
ライアはこちらに微笑んでそういう。
それに、私は恐る恐る人差し指で触れてみる。
すると、私の指はちゃぷんと、ボールのような
水の中に入ってしまった。
「わぁ!温かい!」
ライアの手の上にある玉は、水ではなくお湯
だった。
「これってもしかして…」
「はい、温泉のお湯です。もうすぐの所にあるので、そこから呼び寄せました。俺の力は、こうして水を操ることが出来るってものです。」
そう言ってから、ライアは手のひらを
下に向けて腕を下げた。
すると、お湯でできた玉は形を崩して、
地面にビシャっと落ちてしまった。

