「あ」
ライアが、村の入口に立った私たちに気づいた
のか、そう一声あげると、こちらに向かって
歩いてきた。
「兄ちゃん、この人たち誰?」
そう子供のひとりが聞くと、ライアは
「俺が役人を追い払う時に手助けしてくれた人たちだよ」
と、笑っていった。
「えー…でもライア兄ちゃん助けてもらわなくても強いじゃん」
「そーそー!いつも怪我してないしさ」
その子供たちの言葉を、ライアは否定も肯定も
せずに、苦笑いする。
そして、私に歩み寄ると、
「温泉に行きますか?」
と、にっこりと微笑んだ。
もともと少したれ気味の目が、もっと
優しそうな雰囲気をかもしだす。
「あ、うん、シオン様たちは帰ってきた?」
そう聞き返すと、ライアは頷いて
村の奥の方の家屋を指さす。
「おじさんが、あそこに案内したみたいなので、エーラはあっちに行ってください」
そのライアの言葉に、エーラは素直に頷くと
家屋のある方に歩いていった。
「あの…ライア、さっきの…力をライアも持ってるっていうのはどういう…」
村を出て、温泉に向かう途中、私はそう
ライアに聞いてみる。
「…口で説明するより、見た方が早いと思います」

