「…エーラ、髪濡れたままだと本当に風邪ひいちゃうわよ?」
そう言いながら、いつもとは少し違う
ぺたんとなったエーラの髪を指す。
「あぁ…うん、後で乾かす」
エーラはそれだけ言って、村の方へ歩き出した
私もそれについていきながら、結構
びしゃびしゃなエーラの髪を見て思う。
…あんなに濡れたままで温泉から村まで
戻ってきて…そんなに心配してくれたのかな
心配しなくても、私はエーラが思ってるほど
弱くはないと思うのだけど…
そこらにいる男子よりは、強いんじゃないかな
なんて思ってみる。
…確かに、シオン様やエーラ、ゼンには
全くもって敵わないのだけど…。
…私も、もっと強くならなきゃな…
まだ十代の少年に心配されるようじゃ、
話にならない。
少なくとも、エーラが心配しないで温泉に
浸かれるぐらいにはなろう。

