「俺は、体が洗えれば良かったし、温泉には浸かってないんだ。シオン様とゼンはまだ温泉の方にいる……それに、ちょっと心配だったんだ。」
「なにが?」
私が、何が心配なのかわからずにそう
聞き返すと、エーラはさらに顔を赤くする。
「…フィアネのこと。役人が来たらとか、あいつが危ないやつだったらとかって考えたら…」
やっとのことでエーラが発した言葉に、
私はついくすっと笑ってしまう。
「ありがとう、でも大丈夫よ。いざとなったら飛んで逃げるし」
「そういうことじゃなくて…あー…いや無事ならもういいんだ」
ちょっと反論しようとしたエーラだったが、
言うのをやめて顔を背けてしまった。
これが、怒ったわけじゃなくて、
照れ隠しのようなものだというのが、
私にはわかった。

