私は持っていた鞄から薬草と出来上がった薬
が入った包みを取り出してから、
「じゃあ、服を脱いで」
とライアに言う。
「そんなに酷い怪我はしてないですよ」
とライアは誤魔化そうとするけれど、
「私に怪我は隠せないわよ。切り傷六箇所、擦り傷二箇所、打撲二箇所…化膿してる所もあるでしょう?」
と私は素早く反論する。
「…」
一方のライアは無言で笑みを浮かべたまま
冷や汗をかいていた。
「…そのままにしておいたら、いつか死んじゃうわ。早く」
私がそう言うと、ライアはしぶしぶと
上だけ服を脱いだ。
そこで見えたのは、きれいな肌にも関わらず
いくつもの切り傷の痕に、まだつけられた
ばかりだと思われる傷も幾つもあった。
「…!!」
予想以上にひどい怪我の状態に、私は唖然と
してしまった。
…よく、こんな怪我の状態で笑って立って
いられたな…
普通の人なら、顔色が悪くなるどころか
倒れてしまってもおかしくないのに…
「…少ししみると思うけど、我慢してね」
そう言いながら、薬をつける。
この薬も、効果がない訳では無いけど、
私の力よりは断然効果が薄い。
そっと、気づかれないように、私は薬と共に
治癒の力を流し込んだ。

